夢か、うつつか、幻か・・・。 架空の男子高校生の日記。
ふぁんと夢
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ゆめのあと
2006-12-12-Tue  CATEGORY: 未分類
全身を覆う不快感と冷気で目を覚ました。
大量の寝汗が冷えてパジャマが肌にぴったりと張り付いている。
オレはその場でサランラップのように纏わり付く服を一気に脱ぎ捨てると風呂場に直行した。
湯が沸いていない風呂場は予想以上の寒さで、凍て付くオレの体をさらに鳥肌で飾りつけた。
苛立ちをぶつけるようにシャワーの蛇口を乱暴にひねる。
冷水がなかなか温水に変わらないのがオレの気持ちをさらに苛立たせる。
数十秒してからやっと、シャワーの蛇口から白い湯気が立ち
ようやくオレは心身共に安堵と開放感を感じることができた。
まるで、悪い夢から覚めるように。

自室に戻ると枕もとのケータイのイルミネーションがが青白く点滅していた。
ユカからのメールだった。
なぜだかユカという名前に微かな違和感を感じたような気がしたが
気を取り直して受信トレイを開く。
「もうすぐ着くよー。おきろー!」
もうすぐ着く?こちらに向かっているってこと?
ケータイの時刻表示を見ると午前5時55分だった。

とりあえず家の外に出てみる。
乳白色の朝靄のかかった街角にまだ弱々しい朝日の粒子が低空飛行で降下しはじめている。
空気はきりりと澄み切って、鼻の奥がつーんとした。

通りの100メートルほど向こうから、朝日を背にして一台のママチャリが走ってくるのが見える。
紺色のピーコートに、紺色のスカート。 
ユカだ。
彼女はオレの存在に気付くと、はにかみながらこちらの視線から目を逸らし、ペダルを漕ぎ続ける。
ママチャリはぐんぐんとこちらに近づいて、オレの前でキーッっと耳障りなブレーキ音をたてて停まった。

「おはよー」ピンク色に上気したむっちり頬。白い息。満面の笑みのユカ。
彼女は自転車のカゴから大きめの紙袋を取り出してオレに手渡した。
「はい!これ」
「え、なに?」
「なにって?手作りのお弁当食べたいナーって言ったのヒガシノくんでしょ!
覚えてないなら、持って帰りますけど?」
「あ、いや、覚えてます!いただきます!!」
「ふふふ。よろしい。それじゃね!早弁とかしちゃだめだよ!!」
そう言うとユカは颯爽とペダルを漕いで朝日に向かって帰っていった。

オレ「手作りのお弁当食べたいナー」なんて言った覚えがないんだけど
でも、なんかいいなぁ。こーゆーの。


オレがユカの手作り弁当を持ってだらしなく頬を緩ませ登校すると
廊下で野球部期待の女スラッガー・金井ハルカを見かけた。
170cmを越える身長と定規を入れたように直角に伸びた背すじ。
ジャージ姿に一つに纏めた長い黒髪。
遠くからでもその姿は異彩を放っており
男子生徒はややビビりつつ遠巻きにその姿を眺め
女子生徒は憧れの視線を彼女に向ける。
彼女はオレの視線に気付いたらしく、オレの姿を認めるとこちらに鋭い眼差しを向けた。
怒ってる?オレに?なんで?
彼女はこちらにずんずん近づいて来ると、防御体制のオレにすれ違いざまにこう呟いた。
前日のことは夢だったということにしておいた」









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冬夜幻想
2006-12-07-Thu  CATEGORY: 未分類
寒さで空気がぴんと張りつめた冬の夜
オレは川沿いのテラポッドに腰かけている。
ダッフルコートの右ポケットの中にはユカの左手。
つめたくて、滑らかな陶器のような手だ。
その手を握っているオレの手は汗ばんでいる。
でも、いまさら手を離すのも不自然なのでなにくわぬ顔で川を眺めた。

向こう岸には、国内最大だというジェットコースターが
月明かりに照らされ青白く鈍い光を放っている。
しかも、都会では珍しい星がよく見える夜だ。

もしかして、これは、いけるのでは?
このままの状態で
フリーになっているオレの左手を前方から
彼女のやはりフリーになっている右手を握り
いわゆる「抱き合う」状態になってもかまわないのでは?
そんな夜なのでは?そんなナイトなのでは?

オレは音が出ないように生唾を飲み込み
ユカの様子をうかがう。

学校指定のピーコートの袖を右手で握りしめて
ぼんやりと向こう岸を眺めている。

そういえば、最初に会ったときもピーコートを着ていたっけ。
すごく似合っていたからよく覚えている。
駅前のダンキンドーナッツで中学時代の女友達に紹介してもらったんだよな。
あれ、あの紹介してもらった女友達って誰だっけ?

ま、いいか。

ユカの短めの髪は冷たい風に吹かれて少し乱れて
キャプテン翼みたいになっている。
だけどオレはその下からのぞくうなじに見とれてしまう。

つるりとした、白いうなじ。 そしてうっすらと見えるチャック。

・・・チャック?

もう一度彼女のうなじを凝視する。
・・・間違いない。肌と同色のチャックが頚椎を沿うように付いている。

「どうしたの?」

ユカがオレの顔を上目遣いで覗き込む。
いつもはとてもカワイイと思う彼女のそんな仕草も
髪の分け目から額にうっすらと走る縫い目のようなものを発見してしまっては
どう感じたらいいのか。チャッ、チャックと縫い目はどうしたの?と聞くべきか?
知らないフリを続けるか?いや、ムリ!やっぱりチャック・・・
そういえば、ユカの苗字ってなんだっけ?なんで知らないんだ、オレ?
苗字、いや、チャック、または縫い目・・・

ざばーん!!

唐突に黒い水面から野球部の女スラッガー・金井ハルカがあらわれた。
今日はジャージじゃなくて黒いウェットスーツ姿だったが
金属バットを持っているのは変わりなかった。

ユカは金井ハルカのことをじっと凝視している。
その瞳からは一切の感情が感じられない。

オレはこの状況、空気、その他もろもろに耐えられず叫んだ。

「なんだよこれ!夢?夢だよな!? なぁ!!」


「だといいがな」
金井ハルカは金属バットを上段の構えに振りかぶって
オレの脳天を叩き割った。






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マトリョーシカ
2006-12-05-Tue  CATEGORY: 未分類
一週間ほど前、左の手の甲に小さな丸いイボが出来ているのに気がついた。
ちょこちょこいじっていたせいか、イボは日が経つにつれ大きくなり
今では大きなスーパーボールほどの大きさまでに成長した。

しかも先ほどから熱を持ち始め、イボの部分の皮膚だけが赤黒く変色し
血管がどくどくと波打っている。

さて、どうする?

しばらく考えて、オレは台所から果物ナイフと底の深い鍋を持ち出した。

「何か変な病気かもしれないから病院へ行かなきゃ」
という正気な自分より

「このイボの中身を見てみたい」
という異常な自分の好奇心が勝ってしまったのだ。

オレは鍋の中に左手を入れて血しぶきが飛ばないようにすると
果物ナイフを軽くライターであぶってから
イボに突きつけた。

ぷちゅっという熟れたほおずきをつぶすような音がして
イボはいとも簡単に破けた。

出血はほとんどせず、イボの中身であろう何かが
ぽとりと鍋の中に落ちた。

オレは中身を拾い上げようと手を伸ばしてはっとした。
それはもそもそと動いたのだ。
そして、それはヒトの形をしていたのだ。
しかも、それはオレそっくりの形をしていたのだ。
左手に大きなイボがあるところまでそっくりだ。

それの右手には果物ナイフ
左手に底の深い鍋を持っており
鍋の中に左手を入れて
果物ナイフを軽くライターであぶってから
自分のイボに突きつけた。

小さなオレそっくりのそれの左の手の甲からさらに小さな
オレらしきものが出てきた。
小さなオレそっくりのそれは
やはり中身を拾い上げようと手を伸ばしてはっとしたようだ。


なんだ?なんなんだこれは?

オレの胸の奥から強烈な好奇心が湧き上がり
理解不能なそのちいさなものを指でつまんだ瞬間
背中と脇腹に丸太を挟まれたような圧迫感を感じた。

痛みに耐えながら振り向くと

オレより大きなオレそっくりのものが
好奇のまなざしでオレのことを眺めていた。

オレはわけがわからなくなり
その大きなヤツに満面の笑顔を見せてやってから、気絶した。







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らりるれこ、イラストになるの巻
2006-12-03-Sun  CATEGORY: 未分類
「御大計画」のチカさんが
らりるれこのイラストを描いてくださいました。→GO!


素晴らしい出来に感謝感激であります!
チカさん、本当にありがとうございました。



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温泉奇譚
2006-12-01-Fri  CATEGORY: 未分類
午後の授業をサボって温泉に行った。

オレの住んでいる町のはずれの小さな山のふもとに
こじんまりとした温泉宿があり
平日は入浴のみの客にも格安料金で浴場を開放しているのだ。

その昔、この温泉は銭湯だったらしく
その名残りなのか、男湯と女湯の間に昔ながらの番台があり
生きてるのか死んでるのかわからないような萎れたじいさんが
いつも置物のようにそこに座っている。

番台を抜けるとふわりと湯気とヒノキの匂いが顔をなでる。
オレの頬が少し緩む。

オレは軽くシャワーで体を流すと、すぐさま露天風呂へ向かった。
腰から胸の辺りまでゆっくりと湯船に浸かり、声にならないため息をあげる。
山の木々と土の匂いが鼻腔に侵入してくる。
極楽。極楽。オッサンくさいが、マジで極楽。

ここの露天風呂は
頭上に山の景色、その下はオレたちの住んでいる町が見下ろせる造りになっており
癒しとともに下界の人間に対する優越感にもひたることができる。
今頃みんな授業受けてるんだろうなぁ。

「受けてるでしょうねぇ」

近くで誰かの声がしたのであわてて周りを見てみたが誰もいない。

「ここですよ。あなたの右どなり」

振り向くと小さなカエルがちょこんと露天風呂の岩場に座っていた。
アマガエルだろうか。醜いイボイボは見当たらずその緑色の肌は
ガラス細工のように、美しい。

そして背中には半透明の翼が生えている。

「カエルなのになぜ翼が?と思ったでしょ?
いいでしょう。お答えしす。
ワタシね、死んだんです。
池だと思ってこの温泉に飛び込んだんです」

「死ぬと翼が生えるんですか」

「そうです。よくわからないけど、そう決まっているのです。
この地上で生きとし生けるものはその命がつきると魂に翼が生えるのです。
おそらく、天国まで飛んでいくためのものだとワタシは推測します」

「言葉もしゃべれるようになるんですか?」

「あぁ、これはワタシだけのオプションでしょうねぇ。おそらく。
ワタシは死ぬ前から一度、人間が話す“言葉”というものを話してみたかった。
それをおそらく神様がかなえてくれたのでしょう・・・。
おや、もう行かなければなりません。
あなたのおかげで“言葉”を使って気持ちを通じさせることができました。
ありがとう。では、また」

カエルは軽くお辞儀をすると
微かな金色の光を放ちながら
ゆっくりと天に昇っていった。
「では、また」ってもう死んじゃってるのに・・・。


不思議な気分と湯気に包まれて脱衣所に向かう。
服を着て、いつものようにコーヒー牛乳を一気飲みして
番台を通り過ぎてふと気がついた。

番台のじいさんにも翼が生えている。







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